宇井晴雄さんインタビュー
宇井晴雄さんは富山県出身。これまで多数の舞台の他、映画やドラマにも出演。過去に、今回の演出・立山ひろみさんの舞台にも出演されています。
― 役名を教えてください。
田畑重樹という役です。都会から田舎の暮らしに憧れてやってきて、物事がうまくいかなくて行き詰まっている人です。
― どんなキャラクターですか。
寂しくて孤独な人だと思います。基本すごく弱い人で、都会にちょっと疲れちゃったところもあると思うんですよね。かといって、人が少ないところに来た時に、人と上手くやっていく生活力がない。都会は自分から動かなくても、サービスとして対価を払えば、成立することが多かったんだと思うんです。けれど、それは人が多いところだから成立していることであって、そうではないところに来て、都会にはない地方の良さと、都会の便利さっていうのは、同時にはないっていうことに気付いた、そんなキャラクターですね。
― 宮崎はいかがですか。
宮崎は初めてで、最初来た時の印象は広いなって思いました。開けている感じ。劇場の周辺を歩いていて気付いたんですけど、車の運転がのんびりですよね。「そこ停まっちゃうんだ」って。あとは道を譲り合っている様子を見かけて、そんなことを感じましたね。
― モデル地域を視察していかがでしたか。
重樹が劇中で「ぬるい」って言い放つんですけど、宮崎の持つこの良さでもあるのんびり加減が、ちょっと疲れてる重樹にとって苛立つ原因になるのかなって感じています。都会から地元に帰ると、自分がやたら速く歩いているのに気付くことがあるんですけど、都会に住んでいて、てくてく歩いていた人がここに来て、あんまりにもゆっくりだからそのスピード感を「ぬるい」って思っちゃっている人なのかなって。都会のあくせくした感じが嫌になったのか、こっちのゆったり感に憧れて来たのか分からないですけど、違う時間の流れがいいと思ってきて、実はたまに来るから良かったのかもしれないですね、重樹にとっては。
― なかなか複雑な心境の役ですね。
舞台となるブーブーキングにいる人たちは、みんな受け入れてくれる人たち。だから、重樹はそこに入っちゃいけない気もしていて、自分で壁を作ったりしちゃう。「なんでそんなに交ぜてくれちゃうの」って。重樹の中には距離をとりたいっていう思いもあると思う。弱いんですよね、重樹は。弱っている時って視野が狭くなる。それは自分の中にもある要素だし、しばらくして弱っている時のことを思い返すと、顔が赤くなるようなことばかり。けれども、自分が弱いっていうのを認めたくないけれども認めざるを得ない状態になると、そうなって初めて人を頼れるようになったり、自分以外の視点でものを考えられるようになって、楽になることってあると思います。そんなことを感じさせるキャラクターですね。
― 意気込みをお聞かせください。
このお芝居の中での役割をしっかり果たして、観に来ていただいたお客様に面白おかしかったということだけでなく、観に来て良かったと、足を運んで良かったなって思ってもらえると嬉しいです。ぜひぜひ、多くの皆さまに来ていただきたいですね。
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